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(住宅誌インタビューより)

数年前のことでした。

自然派志向だったお二人は、地球や自然に寄り添う暮らしを提案する同社の理念にすっかり共感。ワークショップや完成見学会、バスツアーにも参加し、「家を建てるなら零で」と決めていたそうです。「特に気に入ったのは、無垢材などの自然素材を使っているところ。ありきたりではない、住む人の個性やライフスタイルに合わせた間取りにも惹かれました」と2人は口を揃えます。

そんなSさんが新居を構えるのみ選んだのは、高台の傾斜地にある区画。北側の土手には3本の桜の木が立ち並び、東南方向には仙台市内南部の街並みが広がる眺望豊かな土地でした。そこで零が提案したのが、見晴らしが良い2階に普段過ごすLDKを据え、1階に寝室や浴室などを配置したプランです。明るい陽射しに包まれた2階には、カラマツの床と杉の天井が心地よいだんらんの間とキッチンが広がります。ワンフロアの空間としたことで、24坪のコンパクトなすまいとは思えないほどの開放感が演出されています。

一角にスキップフロアを設けているのも大きなポイントのひとつ。平面ではなく、上下に仕切ることで、空間を有効利用するとともに、視界的な広がりを生み出しているのです。そして、豊かな眺めを享受する工夫も見事。北側の桜の眺望を活かすため、北から南へゆるやかに傾斜した片流れ屋根を採用しているほか、窓に映る街並みを極力遮らないよう、東南の一角には面積を大きく取ることができる偏芯タイプの窓を取り入れています。「せっかく素晴らしい景観ですから、何とか活かしたいと思ったんです」と担当者は語ります。

すまいのつくり手として、自然エネルギーを利用した暮らしを提案している零。Sさん宅でも、暖房は間伐材や木屑を再利用した木質ペレットを燃料とするストーブを採用しました。また高台ならではの風通しの良さにも恵まれているため、エアコンは設置せず、夏場は自然の風を取り込んで涼しく暮らすスタイルを選択。これもエコと省コストを叶える賢い住まい方と言えそうです。

DATA

敷地面積:69.41坪(229.93㎡)/ 延床面積:25.50坪(84.45㎡)/ 構  造:手刻みによる木組み / 設  計:江本智彦一級建築士 / 所  在:仙台市太白区

PHOTO DATA