暮らし人
eps.20 あるもの探しで豊かに暮らす

eps.20 あるもの探しで豊かに暮らす

自然とつながる外と近い家

長雨の続く中、束の間の晴れ間が出た7月のある日。青葉区双葉ケ丘の坂の上に建つS様邸を訪ねた。自然石敷きのアプロ ーチを抜けると、雑木林のような背の高い木々に囲まれたすまいが出迎えてくれた。

ここに住むのは、Sさん夫婦と、生まれて2ヵ月のRくん。趣味は登山と話す夫婦の家づくりの希望は、自然の中で暮らしたい、という思いだった。住宅街でありつつ、台原森林公園もほど近く自然も感じられる双葉ケ丘に居を移すことを決めた。「寝室からの景色が良くて!朝起きて窓からの景色を見る時間が贅沢なんです」と話してくれた。

 

日課の野良仕事が毎日の活力に

現在育休中の奥さまの楽しみは、庭と畑のパトロ ール。力強いスギナを抜いたり、畑の土いじりが日課になっている。キュウリとトマトを育てている小さな畑の傍らに、カキの殻が積んであった。「1つ58円で安売りしてて、せっかくだから畑の肥料にしようと思って、雨ざらしにして塩分を抜いているところです」と教えてくれた。
すまいの南西をぐるりと囲む、軒下のウッドデッキを、ふたりは“ 縁側”と呼んでいる。気軽に室内外に出入りできるため、奥さまは玄関よりもよく使っているそう。天気の良い日は、Rくんを布団こと縁側に出して、庭仕事をする。「布団も干せて、子どもも外の空気に触れさせてあげられる。一石二鳥ですよね」と、奥さまがニコリ。

 

子どもも木々ものびのび育て

生まれて2ヵ月を迎えたばかりの我が子には、 夫婦が好きな山にちなんで、 稜線の「稜」の字を使って名付けた。そんなRくんのお気に入りは、吹き抜けの上にあるシーリングファン。くるくる回ることから「メリーさん」と名付けた。ぐずった時でも、無邪気に指さしをして、夢中な顔を見せてくれた。
庭の芝生は、自分たちで手植えをした。「うちは基本的に放置型。できる範囲で雑草は抜くし、芝が長くなったら芝刈りするけれど、育ちたいように育ってくれ!と思っているんです。5年1 0年かけて、素敵な庭になっていけばいいなと思ってます」と話してくれた。
Rくんの成長についても、庭の木々と同じように考えている。「元気でいてもらえればなんでもいいかな。すぐ自室にこもってほぼ顔を合わせない、なんていうのは嫌だなと思ったけど、この家はオープンな間取りだから心配無用かな」と、ご主人が優しく笑いながらRくんを眺めていた。

 

あるもの探しで豊かに暮らす

Sさん宅の北側の敷地には、立派なモミジとツバキが根付いている。だんらんの間の窓からは、ちょうどその木々が借景となり、家族の時間を彩る。「もしお隣さんが要らないときは、うちの庭にもらいたいね」とつぶやいた。また庭には、種を蒔いた覚えのない赤しそや、タラの芽が自生している。「妊娠中は食べなかったけど、今度みつけたら食べたいな」。
気持ちよく暮らせているのは、周りの景色や自然のおかげ。そう思うことが、心地よく日々を過ごしていくコツなのかもなと思いながら、S様邸を後にした。

Data

所在 / 青葉区双葉ケ丘
竣工 / 2019 年 4 月
設計 / 江本智彦(一級建築士)
構造 / 在来工法
敷地面積 / 111.04坪
延床面積 / 34.29坪

その他の暮らし人

暮らし人一覧へ戻る