ゼロダヨリ/暮らし人

人が暮らしをつくり、暮らしが人を育む。
シリーズ「零の家の暮らし人」。

長女のSちゃんは、自転車の補助輪が取れて、今はカーブの練習中。

eps.5
炎が繋ぐ家族の絆

家族みんなの お気に入り

凛とした澄んだ空気と、空を舞う雪虫たちは、この土地にも冬の訪れを知らせてくれているのだろうか。心地良い太陽の光がそんな空気を温めるかのように力強く感じた一日だった。青葉区のKさん宅を訪れると、薪ストーブ、空気集熱式ソーラーシステム「そよ風」、ダイレクトゲインの力で、室内は春のような陽気に包まれていた。着ていたフリースをたまらずに脱いでしまうほどだった。

エネルギーを 自分たちの手の中に

両親の影響で、小さい頃から手を動かすのが好きだったご夫婦は、すっかり薪ストーブが中心にある暮らしぶりになっていた。奥さんのお父様が林業に従事していることもあり、春夏は薪集めに奔走する。今年は山形のリンゴやラフランスの果樹を切り倒し、薪にして来シーズンの分として乾燥させている。ちなみに今年使用する薪は、ケヤキ・アカシア・桜。様々な樹種を使うと燃え方や香りの違いなど、いろいろな発見もあり楽しみが増える。薪ストーブは冬の暖房設備ではあるが、一年を通して薪集めや薪割りの仕事がある。1シーズンの使用量を計算し、コツコツ集めては、割っていく地道な作業だ。ご主人は、薪ストーブのある暮らしを初めて「煩悩がなくなった。薪ストーブのことを考えていると、他のことを考えている暇がない!」と嬉しそうに語った。元々多趣味だったご主人も、そのほとんどに目がいかなくなり、気が付けば薪のことを考えているのだとか。

 

薪ストーブの 役割

薪ストーブに魅了されているのは、ご主人だけではない。長女のSちゃんもそのひとり。いじけた時の定位置は、ストーブ前。そのまま1人でご飯を食べていることも。奥さんも昨シーズンは、慎重になり過ぎてしまい、薪ストーブ料理に中々手がつけられなかったそうで、今年こそは!と意気込んでいる様子だった。

 

すぐそこにある健やかな暮らし

長女のSちゃんはDIYや薪割りのお手伝いをするうちに、すっかりアウトドアな女の子になり、毎日真っ暗になるまで外で遊んでいるそうだ。この日も華麗な自転車さばきを見せてくれた。そんなSちゃんにどんな時が一番楽しいか尋ねると、「キッチンでママのお手伝いするのが楽しい」と教えてくれた。両親からすると、“よそゆき”な答えだったようだが、すくすくと、のびのびと育っている子どもたちの様子に、零の家の本質を見たような気がした。

炎のぬくもりとパパのぬくもり。

南面のサッシ周りは、太陽の熱がダイレクトに入ってくるため、晴れた日は冬でも過ごしやすい。

ストーブ前が家族の憩いの場

Kさん宅の中心にある薪ストーブは、今年で2シーズン目。前日にも、ストーブ前で、ビールを片手に至福の時間を過ごしたというご主人。薪ストーブへの熱は、日に日に高まっている。もちろん、家族全員がそれぞれの楽しみ方を持っている。

長女のSちゃんも、パパのお手伝い。苦手だった虫も、今では素手で捕まえられるほどに。

手に入れた憧れの暮らし。これからもずっと。

ストーブに集まるKさんご家族。

暮らしの中にある 喜びを見つけて

零の家に引っ越してまもなく、妹ができた。新しい暮らしに、新しい家族。できることが増え、チャレンジと失敗を繰り返し、できることがどんどん増えていく。 さて、今日はどんなことをしようかな?

何事にも全力投球。子ども達は、楽しむことの大切さをいつも教えてくれるのです。

まだ歩くことはできないが、外で遊ぶのが好きな次女のSちゃん。お姉ちゃんが薪運びのお手伝い中にも、もくもくと庭で砂遊び。

ハイハイで自由に動き回ることが出来る次女のSちゃん。間仕切りの少ない零の家は、子どもたちにとっては絶好の遊び場となる。

太陽のぬくもりを 感じて暮らす家

秋の高い空が、どこまでも広がっていたこの日も、太陽のエネルギーは絶大だった。南面の開口部からは太陽の暖かさをダイレクトに。屋根には太陽の熱を集め、室内を温めるそよ風。余談だが、Kさん宅の隠れ人気スポットは、北側に位置するにも関わらず、そよ風のダクトが近く、暖かい1階のトイレだそうだ。これからの季節は争奪戦になることは必至。

冬には、部屋の奥まで太陽の光が入ってくる設計になっており、直接太陽の暖かさを得ることが出来る。

お料理のお手伝いもお手の物。姉妹そろってキッチンに立つ日も、そう遠くなさそうだ。

DATA

所在//青葉区愛子中央
竣工/2016年4月
設計/小野 幸助(一級建築士)
構造/在来工法
敷地面積/69.88坪
延床面積/34.30坪