暮らし人
eps.4 一杯のコーヒーから

eps.4 一杯のコーヒーから

淹れたてのコーヒーで手厚いおもてなし。カウンターさばきが板についている喫茶店のマスターのようなご主人。

喫茶店のような 空間を再現

雨続きの夏が終わり、澄んだ空気が、足早な秋の訪れを教えてくれた9月、太白区の高台に建つ零の家を訪れた。南側の眺望が心地良く開放的なすまいは、高低差のある変形地に建つ。1階と2階を繋ぐ階段の中腹に玄関がある、特徴のある間取りだ。

すまい手のTさんご家族はあたたかいコーヒーで迎えてくれた。ご主人がコーヒーと出会ったのは高校生の時。近所の喫茶店に通いコーヒーを飲んだ。それを知ってか、母親が知人の使わなくなったミルをもらってきた。それをきっかけに豆を挽いて自分で淹れたコーヒーを飲むようになった。Tさん宅では、キッチンと向かい合うように設置されたカウンターを囲み、団欒が始まる。このカウンターは、喫茶店のカウンターをイメージして設計したもの。昔から好きで通った喫茶店を、暮らしの中に再現した。

 

正直な生き方 素直な暮らし    

豆は、ご近所の自家焙煎屋さんなど、お気に入りが数件あり、その時の気分で購入している。出先でちょっと飲むときは、意外にも某コンビニ“S”でも。「うんちくよりも飲んでうまい!それが一番!」と語った。

 

楽しみながら 工夫を凝らす

Tさん宅の暮らしには、冬のお楽しみアイテムがある。それは「寝袋」だ。もちろん寒さを耐え凌ぐためのものではない。冬が近づくと人数分の寝袋が姿を現す。Tさん宅では、暖房に薪ストーブと空気集熱式ソーラーシステム「そよ風」を使う。天気の良い日は真冬でもそよ風だけで十分あたたかい。太陽の出ていない時間を薪ストーブで補うスタイルだ。自然エネルギーといえど、無駄に垂れ流し、浪費して良いものではない。薪ストーブは、少しづつ大事に焚く。夜が更けるとストーブの余熱と寝袋で過ごすそうだ。「これがまた最高なんです」とご家族全会一致。なるほど、そんな楽しみがあったとは。薪の調達は、近所の神社や解体現場、職場近くの造成工事の現場などから、原木や木材等を譲ってもらってくるそうだ。そのため一つ一つの薪にも愛着がわき、大切に焚いている。地域の方々とのつながりもより強くなった。そのうえ、常にアンテナを張っているため、薪が尽きたことは一度もないそうだ。

 

当たり前にある豊かな暮らし

しっかりと自分たちの手の中に暮らしが根付いているTさんご家族。築5年半の零の家は、家族の暮らしに溶け込み、すっかり家族の一員になっていた。

Data

所在//太白区向山
竣工/2011年12月
設計/小野 幸助
構造/伝統構法・木組み
敷地面積/49.95坪
延床面積/31.12坪

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