
根保証って何? ~連帯保証人その1~
9月も半ばに差し掛かり、日が短くなってきましたね。
不動産事業部 高山です。
突然ですが、
「あなたが連帯保証人になっている〇〇さんの滞納家賃について、いついつまでにお支払ください。」
こんな手紙が突然届いたら・・・
びっくりするし、動揺しますね。
部屋や住宅を借りようとするとき「保証人を付けてください」と言われることがあります。
つい最近までは、このように親戚や友人などにお願いをして保証人(その多くは「連帯保証人」)になってもらうことがほとんどでした。
大家さんにとってみれば、住宅等を貸している本人からの支払いが滞るなどの「債務不履行」が発生した場合に、
その本人以外の方の財産でもって債務を履行してもらえる「担保」となるため「人的担保」と呼ばれたりもします。
対して、不動産に抵当権を設定するなどの場合は「物的担保」です。
この「保証」について、来年から施行される改正民法での大きな変更点を含め、何回かにわたってお届けしたいと思います。
不動産取引、特に賃貸において「保証人」を立てたものとして、お話しすることにします。
大家さんから住宅を借りることになったあなたの友人Aがいます。
あなたはAのため、連帯保証人となることに同意しました。
このとき、「保証契約」を締結します。
この契約はあくまでもあなたと大家さんの間で交わされる契約です。
さて、連帯保証人になったあなたですが、十数年後、友人Aが家賃滞納してしまいました。
ブログ冒頭のような恐ろしい手紙が来たりするわけですね。
では、ここでクイズです!!
大家さんに対して、「まずはAに、支払うように言ってください」と求めたり
「Aの財産から支払いがなされた後でなければ、保証人である私からは払いたくありません」
などと主張することは、可能でしょうか?
答えは、
がーん、ですよね。。。
実は、ただの「保証人」なら、これらは認められます。
しかしあなたは「連帯保証人」。
「まずは主債務者(A)に請求を」と主張する=「催告の抗弁」も、
主債務者が返済できる資力があることを理由に債権者(大家さん)に対して主債務者の財産に強制執行をするように主張する=「検索の抗弁」も、
連帯保証人にはできないのです。
重たいですよね・・・
しかも大家さんは言いにくそうに、
「家賃の滞納、ずいぶん前からで・・・
それに、水漏れしたときの修理費用なんかも未納で・・・
全部合わせると△△△万円以上になるんです・・・」
あなたはその莫大な金額に絶望・・・
実は、こういった個人に対する保証契約について、現在の民法では
保証金額に上限はありません。
連帯保証地獄、などと言われるのはこのためでもあります。
賃貸借の保証は継続する取引関係から生じ、増減変動する不特定の債務を保証する契約であり、
これを「根保証」と言います。
「根」というのは「継続的な」という意味で用いられているのですね。
上限がないため、債務が無限に膨れ上がってしまうリスクを抱えているのです。
しかし、改正民法では、ここに新しいルールが設けられることとなりました!
第2回につづく。