
両手? 片手?
こんにちは。
ゼロノワ不動産こと不動産事業部 高山です。
先日より、新たなメニューとしてご紹介しております「ゼロノワエージェント」。
加入いただける方が増えて、嬉しく思っています。
今日は、お客様の土地探しでちょっと気になることがあったのでそのお話。
エージェントサービスは、【売りに出ていない土地】にもアプローチできる新しい土地探しですが、
もちろん【売りに出ている土地】のなかで「いいなあ」と思うところがあればそちらも検討しますよね。
売りに出ている土地の中にもいろいろあって
①ネットなど広く公開されている物件
②現地看板のみ出ているような物件
③未公開物件
などがあります。
今回は②のような土地をお客様が見つけてきて、ゼロノワ不動産が問い合わせをした時の話です。
ゼロノワ「現地で看板を拝見しまして・・・まだご紹介可能でしょうか?」
担当者「はい、売り出し中ですが・・・こちらは当社の仲介物件になります。御社は不動産会社でしょうか?」
ゼロノワ「そうですね、工務店ではありますが不動産業者でもあります」
担当者「申し訳ないのですが、片手になっちゃうと苦しくって・・・御社がもし仲介ご希望でしたらご紹介できないですね・・・」
なんと、まだ売れていないのにお断りされてしまいました。
なぜこんなことが起こるんでしょうか。
先ほどの会話で「片手」という表現があったと思います。
聞いたことある方もいらっしゃるかもしれません。
不動産売買の際、その間に入るのが不動産会社であり、「仲介」というものになります。
売主さんから売却の依頼を受けて販売活動を行う「売主側仲介」と、
買主さんから購入の相談を受けて物件を探すお手伝いをする「買主側仲介」があるわけですが、
工務店・ハウスメーカーがお客様のために土地を探している場合
(不動産業は営んでいないので仲介業は行わず、あくまでもお客様への提案)や
インターネット広告などを見て直接お客様が問い合わせをする、ということももちろんあります。
そのように、買いたい方に「仲介会社」への依頼がない場合、「売主側仲介」の会社が「買主側仲介」の役も担うことになります。
それが「両手取引(両手仲介)」で、「片手取引(片手仲介)」というのは売主買主それぞれに仲介会社がついている場合のことです。
では「片手だと苦しくて」とは一体何なのでしょうか。
不動産取引の報酬額というのは、宅建業法で決められた金額を超えてはならない決まりになっています。
計算式があって、取引の価格によってその報酬額も変わります。
仮に、1000万円の不動産を売買したとしましょう。
(※~200万円以下・200万円超え~400万円以下・400万円超え~という3つのくくりがあり、それぞれ計算式が違います)
400万円を超える物件を売買したときの報酬額上限は、売買代金の3%+6万円+消費税と決められています。
36万円に消費税で仲介手数料は396,000円ですね。
「仲介手数料」ですから、仲介を依頼した会社に対して支払うことになります。
「片手」であればそれぞれ売主さんは売主側仲介会社へ、買主さんは買主側仲介会社へ。
そして「両手」というのは、売主買主両方が一社に支払う場合。
例えばもともと売主さんが依頼した会社に売主買主とも支払うような場合をいいます。
つまり、報酬が倍になるので、この場合 396,000円×2=792,000円。
あなたが売主さんだとして、
「そっかー。だから片手では苦しいって言って断ったのね。うんうん」
・・・って、なりますか!?
なりませんよね。当たり前です。
売主さんにしてみれば、仲介会社さんを信用して媒介契約(仲介の契約のこと)をしているんです。
自分の知らないところで売却の機会が失われているなんて・・・
悲しすぎます。
これを「囲い込み」と言って、残念ながら今現在の日本ではこういったケースが少なくありません。
「両手取引」自体はもちろん何の違反でもありません。
しかし、両手取引にこだわり、倍の報酬額を得たいがために物件の紹介をしなかったり、
なかには「もう申し込みがありました」などと嘘をつくような「囲い込み」は、れっきとした媒介契約違反です。
このことには、そもそも不動産業に関して報酬額が上述の通り決められていることや
両手取引を禁じていない法律のせいだ、という意見も少なくありません。
シンガポールなど、法律で両手取引を禁じている国もあるのですが、
報酬に対する決まりもまた違うので、一概には言えないかもしれません。
でも、なんでしょう・・・悲しいですよね、同じ不動産業者として。
囲い込みのせいで売却機会をたくさん失った売主さん、もしかしたら
「あまり問い合わせが来ないですね・・・値下げしませんか?」
なんて言われているかもしれません。
さきほどの1000万円の物件、仲介手数料は
〇片手・・・396,000円
〇両手・・・792,000円
でしたが、仮に物件価格を900万円に値下げしたとしても、両手なら
(900万円×3%+6万円+消費税)×2=726,000円
そうなんです。
値下げしたって、手数料は両手であれば大きく変わらないんです。
でも、売主さんはどうでしょう。
100万円も安く手放すことになってしまいます。
不動産をお持ちの方、どうか不動産会社選びは慎重に。
「大手だから」
「地元だから」
それだけで判断するのは禁物です。
ゼロノワ不動産は、もちろん両手取引にこだわりませんし、むしろ片手取引のほうが圧倒的に多いです。
両手でも片手でも、売主さんや買主さんのために物件を詳細に調査し、しっかりと説明し、
引き渡しまでのあれこれをお手伝いする、というのは何ら変わりません。
片手、と言いますが、一緒に仲介する会社さんと協力して案件を進めていくのはお互いの勉強にもなりますし、
より複数の目で重要書類を確認できる、などのメリットもたくさんあります。
なかなかこの悪しき風習「囲い込み」はなくならないのかもしれませんが、
私たちは今後も売主さん・買主さんを裏切ることなく邁進してまいります!