広がり間取りと可変性

部屋(room)ではなく、間(space)をつくる

 日本人は昔から建具などを用い空間を区切ることで新たな間(space)をつくり、さまざまな用途に使える見事な可変性を持たせてきました。そこには家族間における互いへの思いやりと尊重、愛情があったのではないでしょうか。しかし現在は、用途別に独立して閉じた部屋(room)を設け、その部屋を廊下を挟みながら継ぎ合わせていく西洋的な家づくりが主流となっています。「 家族の人数+LDK」という考え方です(図1)。
 元来、間取りとは「間」を「取る」というように、一つの大きな空間から必要な「間(space)」を区切っていくもの(図2)。曖昧で融通の利く間取りは、ライフスタイルの変化にも自在に対応が可能であり、結果として住まいの長寿命化にも大きく貢献しているのです。

暮らしの動線と収納

 日々の暮らしをより楽しく、快適にするために必要なのが、合理的な家事動線。玄関からリビングへとつながる表動線の他に、納戸やキッチンへ直接出入りできる裏動線をつくることも有効です。家事の流れを考慮した動線は、日々の暮らしにゆとりを与えてくれます。
 また、プランを決める際の悩みのひとつが「収納」です。しかし、収納のために家を建てるわけではありません。日常の暮らしに必要なものを適所に収められる収納計画が大切で、やみくもに広ければ良いということではないのです。家事動線と連動して使える食品庫や納戸、寝室と直結したウォークインクローゼット、そして、新たに空間をつくる必要のない床下収納などを上手に活用すれば、それは生きた収納になるはずです。

  • 2階のお風呂は、脱ぐ→洗う→干す→取り込む→仕舞うの洗濯動線が便利。洗濯かごを抱えての階段移動が不要に

  • 腰を下ろすのに便利な高さの畳の小上がり。畳の下は、全面大きな収納空間に。手前の引出しタイプの収納も便利

  • 寝室とつながる大きなウォークインクローゼット。毎日のことだからこそ、便利さはゆずれない

  • 玄関からつながる、別名「奥さま動線」。納戸と食品庫も兼ねるこのペースは、床を土間にすることで、用途がさらに広がる