Home プレス情報 新建ハウジング プラスワン(2009年11月)

SH+1 09.11/新建ハウジング プラスワン(2009年11月)

業界誌『新建ハウジング プラスワン 2009.11号』 (株式会社 新建新聞社)に、
零の改善運動と、協力業者会誌『毎日改善・建築生活』が、
全国の工務店さんへ紹介されました。
私たちの地道な活動が取り上げられ、全国へ発信させることは、とても嬉しいことです。
建築関係者の方ばかりではなく、一般の方も、ぜひご覧下さい。
 
(以下、記事本文)

協力業者向け社内誌を発刊、「カイゼン」の輪広げる

情報交流が一歩先の現場示す/仙台 建築工房零

自然素材を使い、手刻みの木組みと貫による伝統構法を標準仕様に家づくりを実践する㈱建築工房零(宮城県仙台市、小野幸助社長電022-348-2925)は、若手社員が中心となり、営業部を持たずに住まい手と価値観を共有しながら家づくりを進める、次世代の地域工務店だ。そんな同社が新たに始めたのが、協力業者との情報交流を目的とした社内情報誌だ。

建築工房零が社内情報誌「建築生活」を創刊したのは昨年2008年11月のこと。きっかけは、同社で品質管理を担当する菅野伸明さん(41)が発案した業務改善運動だった。

菅野さんは現在「品質管理」という役職を担う。構造から仕上げまで無垢材をふんだんに使う同社で、菅野さんは、製材所から仕入れる材木の品質管理、着工後の現場監理と全9回の独自検査、また竣工後の定期点検・メンテナンスを主な業務とする。「引渡し後のクレームやメンテナンスを減らすため、いかに仕入れ時の品質管理や着工後の現場監理を向上させるか」。菅野さんは日常業務の中で、日々改善を積み重ねることの重要性を痛感してきた。「こうした改善の取り組みを社内業務や建築現場の協力業者の業務でも実践できないか」と発案したのが改善運動の始まりだという。

それまで、現場では「グチ」が聞かれることもあった。「グチで終わらせるのではなく、建設的な提案として必要なものを拾い上げて、現場の環境を向上できれば、協力業者の仕事の効率も上がるし、完成した家の品質も高まる」。菅野さんの強い思いが社内を動かした。

改善運動のしくみは至ってシンプル。まず協力業者にはあらかじめ専用シートを配布しておく。日常業務を通して協力業者が思いついた改善案があれば専用シートに記入し、FAXで同社宛てに送付してもらう。同社に届いた改善案は、社内でひとつひとつ、導入するか否かを検討し、良案は即時に導入する。

こうして集められた改善案を、協力業者を含めた社内で情報共有しようということから、社内情報誌を創刊する案が持ち上がった。企画・編集は菊地史朗さん(39)が担当することになった。この改善運動は当初、社員が各協力業者に「改善案」を聞き取りに行き、必要なものを採用するという方式を検討していた。だが菊地さんがあえて社内誌として一冊にまとめ、社内から協力業者まで全員に配布することにこだわった。理由のひとつは現場の意識向上。「どの業者がどんな提案をしているかを知ることで、現場に改善の意識を高まる」。また採用されなかった改善案とその理由を協力業者さんに共有してもらうことで「家づくりに対する当社の価値観や判断基準を協力業者の皆さんに知ってもらいたいという思いもあった」という。

3カ月に1回の季刊形式で、これまでに全4回を発刊。その間に提出された改善案はすべて誌面で紹介し、採用・不採用のコメントを添えた。各号で全改善案から良案を選び、ベスト3を表彰。実際に改善案を導入した後の結果報告も誌面上でおこなった。

「断熱材充填後の壁のむくれをおさえるため、胴縁を先に打ってはどうか」(大工)「無垢建具の反りにあわせ縦横に調整できる戸車を使うのはどうか」(建具業者)「建て主ご家族のため、現場の職人全員が名札をつけてはどうか」(建材店)-。いずれも社内で高い評価を受け、現在導入に向けて準備をすすめている改善案の例だ。これまで全4回のうち提出された改善案はあわせて152件。そのうち63件がすでに導入済み、24件が導入検討中と、着々と成果を挙げている。

「改善運動は皆が一度は思いつき、実現すれば住まい手、協力業者、工務店の3者の誰にとっても利益になることわかっていること」。しかし「あれがダメ、これは無理と、できない理由を探して、実践されている例は極めて少ないのも事実」と菊地さん。「これを一度覚悟を決めてやってみる。それを素直に気負わずできるのがわれわれの強み」と分析する。「(改善案を紹介する)社内誌が、常にわれわれが進むべき一歩先の現場を示す灯り持ちのような存在になってくれれば」(同)。

情報誌の波及効果
 
社内誌「毎日改善・建築生活」のもうひとつの特徴は「社外の第3者でも読める」ような情報誌の形態をとっていることにある。これも創刊前に「大げさな形態をとらず、必要事項だけを文書にまとめてFAXで送付すればいい」という案もあったが、ここでも菊地さんはあえてこの形態にこだわった。

誌面の内容の核となるのは、全改善案の紹介と表彰、そして導入後の報告。だがそのほかにも、協力業者をインタビューする「職人さん紹介」、同社の4人の建築士が担当する「設計コラム」、目下建築中の建て主から新居への想いを聞く「住まい手からのメッセージ」、社員と協力業者が参加するソフトボール大会や芋煮会など「親睦会のお知らせ」、そのほか見学会やワークショップの告知など。

情報誌のかたちをとることで社外の人でも読みやすい。「誌面に掲載された職人は、冊子を家に持ち帰って自分たちの誇れる仕事を家族にもぜひ見せてほしい」(菊地さん)。また同社のショールームでは社内誌を閲覧できるようにするほか、信頼関係を築いた顧客には贈呈する。現場の工夫に触れ「足元の小さなことまでちゃんと気をつかってくれている、と評価してくれる方が多い」と手ごたえを感じる。

今後はOBにも登場してもらい、入居後の暮らしや住まいの気に入っているところ、不満点なども誌面で紹介していく予定。「誌面を通じて、OBの喜びを職人に届けることで、日々の仕事にやりがいを感じてもらえれば」。

今後コンテンツが広がることで、住まい手をふくめた、協力業者、工務店の3者のための情報交流できる場となる誌面をめざす。「お客さん・協力業者さん・零の3者が情報を発信しあい、理解しあい、高めあうことが出来たら最高です」と菊地さんは話している。


 
 
00219400